恩師に贈る最大の恩返し

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まずは恩師と呼べる存在を持たなければならないだろう。


しかし、これからさき、私に恩師と呼べる存在が登場することがあるだろうか。どうも、望みは薄いような気がする。となると、恩返しは夢のまた夢ということにもなろうか。


当時、とても恩師とは思えなかった年長の知人などを、恩師ということにして捏造してしまうということも可能かもしれない。


それほど懇意にしていたわけでもなくお世話になったのでもなく、影響も受けず、恩義と呼べるようなものをまったく抱かないままに別れた、年長の知人たち。あなたがたの存在がなければ、いまの私は存在しないでしょう！


そのような、白々しい感謝の言葉を捧げることで恩師も恩返しもとりあえずは成功するのかもしれない。それも、そのような、なんの思い入れもない仮恩師に対する恩返しは、単なる恩返しにとどまらず、最大でなければならないという。


となると、恩師もいない身であるにもかかわらず、恩返しにおける最小と最大ということについても考えていかなければならなくなった。


恩返しに最大という概念を持ち込むタイプの人間だけに可能な、最小の恩返し。その最小の恩返しを受けるような恩師は、どのような恩師であるのか。そして、その相手に対して、本当に恩を感じているのか。

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